介護用ベッドのサイズで後悔しないために|選び方のポイントを解説

介護用ベッドを選ぶ際、「どのサイズが良いのか」で悩まれる方は多いのではないでしょうか。サイズは、利用者の快適さはもちろん、介護する方の負担や安全性にも大きく関わります。この記事では、介護ベッドの「幅・長さ・高さ」といった基本サイズの種類から、それぞれの特徴、選び方のポイントまでをわかりやすく解説します。

目次

1. はじめに:介護用ベッド選びで最も重要な「サイズ」の話

介護が必要になったとき、まず考えるべきなのが「介護用ベッドのサイズ」です。多くの人は、機能や価格を先に見てしまいがちですが、実はサイズを間違えると毎日の介護がとても大変になってしまいます。それだけでなく、ベッドが大きすぎたり小さすぎたりすると、お部屋の動線が妨げられたり、介護を受ける人が落ち着けなかったりする原因にもなります。

例えば、ベッドの横幅は83cm、91cm、100cmの3種類が基本です。幅83cmは、細身で寝返りが難しい方におすすめ。一方、一般的なのは91cmで、自力で寝返りができる方に適しています。100cm幅は体格が大きめの方には良いですが、介護のしやすさで言えばやや広すぎるかもしれません。

長さにもバリエーションがあり、180cm(ミニ)、191cm(レギュラー)、205cm(ロング)の3種類があります。身長150cm未満の方はミニ、150cm〜175cmの方はレギュラー、176cm以上の方はロングがおすすめです。

このように、サイズを選ぶことは、介護する人・される人の両方にとっての「快適さ」や「安全」に直結します。ここからは、なぜサイズ選びがそれほど大事なのかを、もう少し詳しくお話ししていきますね。

1-1. サイズは介護のしやすさと安全性に直結する

介護ベッドのサイズはただの数字ではありません。実際には、介護する人の動きやすさ、介護を受ける人の安心感に大きく関わってきます。

例えば幅が狭い83cmのベッドは、介護する人が要介護者の身体に近づきやすく、寝返りや体位変換などのサポートがしやすいというメリットがあります。でも、体格の大きな人がこのサイズを使うと、窮屈に感じてしまって逆にストレスになります。

反対に、100cm幅のように広めのベッドだと、自立できる方にとっては寝返りしやすく快適です。しかし、介護者が反対側から手を伸ばして支えるのが大変になり、腰痛のリスクも出てきます。つまり、ベッドの幅は「介護者の負担」「要介護者の快適性」のバランスを見ながら選ぶ必要があるんです。

また、長さの選び方も非常に重要です。身長と合わない長さのベッドを使うと、足が出てしまったり、頭がマットレスの端に寄ってしまったりして、睡眠の質が下がったり、転落の危険もあります。

介護に使うベッドは、ただ「寝る場所」ではなく、「安全に日常を送るための場所」です。だからこそ、サイズ選びには十分すぎるくらいの注意が必要なんですよ。

1-2. 介護ベッド選びは「人」と「部屋」の両方から考える

「この人にちょうどいいベッドは?」と考えるのはとても大事なことですが、それだけでは足りません。実際にベッドを置く部屋の形や広さ、動線、窓や出入り口の位置も、しっかり考慮しなければなりません。

例えば、幅100cmのベッドを6畳の部屋に置いた場合、ベッド周りのスペースが極端に狭くなって、車いすが通れなかったり、介護者が動きにくくなってしまうことがあります。

さらに重要なのが起き上がりの方向。多くの介護ベッドは背上げや脚上げの機能を備えており、起き上がる動作を支えてくれますが、ベッドのどちら側から起き上がるかによって、設置する向きや位置も変わってきます。

また、介護ベッドはマットレスやサイドレール、テーブルなどの付属品も一緒に使うことが多いため、これらが邪魔にならないように配置する必要があります。

厚生労働省のガイドラインにもあるように、介護ベッドは「比較的大きなスペースを必要とする福祉用具」とされています。だからこそ、ベッドを選ぶときは「人に合っているか」だけでなく、「部屋に合っているか」も同じくらい大事なんです。

家族みんなでベッドを囲む時間が、少しでも快適で安心なものになるように。ぜひ、サイズという観点をしっかりと意識して、ぴったりの介護ベッドを見つけてくださいね。

2. 幅の違いでわかる介護ベッドの3つの標準サイズ

介護ベッドを選ぶとき、まず大切なのが「幅」です。
ベッドの幅は、寝る人の体格や寝返りのしやすさだけでなく、介助のしやすさや部屋の広さとのバランスも大きく影響します。
介護ベッドの幅には大きく分けて83cm・91cm・100cmの3種類があり、それぞれに向き・不向きがあります。
ここでは、それぞれの幅の特徴と選び方について、やさしくわかりやすく説明しますね。

2-1. 幅83cm:密着介助に向いたスリムタイプ

幅83cmの介護ベッドは、最もスリムなタイプです。
このサイズの良いところは、介助者と要介護者との距離が近くなり、身体を支えたり起こしたりといった介助がしやすいという点です。
ベッドが狭い分、腕を伸ばして手を添えやすく、背中を支えたり寝返りを手伝ったりする場面で、とても便利なんですよ。

ただし、自力で寝返りができる方には少し窮屈かもしれません。
寝返りを打つたびに手や足がベッドのフチに当たりやすく、ストレスを感じることもあるかもしれませんね。

この幅がぴったりな方は、体格が細めで、自力での寝返りや体位変換が難しい方。
また、設置する部屋があまり広くない場合にも選ばれることが多いですよ。

2-2. 幅91cm:最も一般的なバランス型

幅91cmは、現在市場で最も一般的なサイズ。
介護ベッドとして最も多く使われているスタンダードサイズです。

このサイズは、寝返りを打てるスペースが確保されているので、自力で体を動かせる方にとって快適です。
一方で、幅83cmのベッドほど介助がしやすいわけではありませんが、介助者が両側からアクセスしやすいレイアウトにすれば、大きな問題はありません。

こんな方におすすめなのは、標準的な体格で、自力での寝返りや多少の動作が可能な方
また、初めて介護ベッドを選ぶご家庭でも、無難でバランスが取れた選択肢として人気があります。

2-3. 幅100cm:体格が大きい方向けのワイドサイズ

幅100cmの介護ベッドは、一般的なシングルベッドと同じくらいの幅です。
体格が大きい方や、寝返りをよく打つ方にとっては、窮屈さを感じにくく、ゆったりと休めるサイズです。

しかし、ここでちょっと注意が必要です。
幅が広いぶん、介助をする人の動作スペースが狭くなる可能性があるんですね。
たとえば、ベッドの片側を壁にくっつけて設置してしまうと、反対側からの介助が難しくなってしまうことも。

このサイズが向いているのは大柄な方や寝返りが頻繁な方で、なおかつある程度自力で動ける方です。
また、設置する部屋に十分なスペースがあることも前提になります。

2-4. 【比較表】ベッド幅別のメリット・デメリット

ベッド幅メリットデメリットおすすめの方
83cm介助がしやすい
省スペース
寝返りしにくい
圧迫感がある
細身の方
寝返りが困難な方
91cmバランスが良い
多くの人に対応
狭すぎず広すぎず、中間的寝返りができる方
初めてベッドを選ぶ方
100cm広くて快適
寝返りしやすい
介助がしにくい
設置スペースが必要
大柄な方
よく動く方

2-5. 【注意】広すぎると介助しづらい?介護者の視点も重要

介護ベッドの幅を選ぶときは、寝る方の快適さも大切ですが、介護する人の動きやすさもとても重要です。
ベッドが広すぎると、手を伸ばしても体に届きにくくなったり、姿勢を崩して腰を痛めるリスクもあります。

特に、片側を壁に寄せて設置する場合は、反対側からの介助がしにくくなるため、ベッド幅が広いと介護が負担になることも。ベッドの左右どちらからもアクセスできるように配置できるかどうか、部屋の広さとのバランスを必ず確認しておきましょう

また、介護ベッドを長く使うことを考えると、介護する人が無理なく動ける空間を確保することが、結果的にご本人の安全にもつながります
サイズを選ぶときは、使う人と支える人、どちらの視点も大切にしてくださいね。

3. 長さ別の選び方|利用者の身長に合わせた目安

介護ベッドを選ぶときに、長さはとても大切なポイントです。利用者の身長に合ったベッドを選ぶことで、寝心地がよくなるだけでなく、介護する人の負担も軽減できます。現在、介護用ベッドの長さは大きく分けて3種類あります。それぞれのサイズがどんな方に向いているのか、しっかり確認していきましょう。

3-1. 長さ180cm(ミニ)|身長150cm未満向け

長さ180cmのベッドは「ミニサイズ」と呼ばれています。このサイズは身長が150cm未満の方にぴったりで、小柄な方が快適に使えるよう設計されています。体に合わない大きなベッドを使うと、足元が余って落ち着かないこともありますよね。

ミニサイズならそんな心配がなく、体全体をベッドの中にきちんと収めることができるため、安心して眠ることができます。また、部屋のスペースが限られている場合にも、このコンパクトなサイズは大きなメリットになります。

3-2. 長さ191cm(レギュラー)|標準サイズ

長さ191cmのベッドは「レギュラーサイズ」で、最も一般的なサイズです。身長150cm以上176cm未満の方におすすめされています。このサイズは多くのメーカーで標準的に扱われており、マットレスやサイドレール、ベッド柵などの付属品の選択肢が豊富なのも大きな魅力です。

身長にぴったり合っていれば、寝返りも打ちやすく、体への負担も少なくて済みます。ほとんどの方が迷ったらこのレギュラーサイズを選んでおけば安心です。

3-3. 長さ205cm(ロング)|身長176cm以上の方に

長さ205cmのベッドは「ロングサイズ」と呼ばれています。身長176cm以上の方に適しており、大柄な体格の方でも足がはみ出ることなくゆったりと眠ることができます。身体が大きい方にとっては、短いベッドでは膝が曲がった状態になってしまい、かえって疲れてしまうことも。

ロングサイズを選ぶことで快適な姿勢を保ちやすくなり、睡眠の質も向上します。ただし、ロングサイズはレギュラーサイズに比べて対応するマットレスや付属品の種類が限られることがあるため、次の項目で詳しく説明しますね。

3-4. 【落とし穴】マットレスやサイドレールが対応しない可能性

ベッドの長さを選ぶ際に注意したい「落とし穴」があります。それは、ベッドの長さによって対応するマットレスやサイドレールが制限されることです。とくにミニサイズ(180cm)やロングサイズ(205cm)は、レギュラーサイズ(191cm)と比べて対応する製品が少ない傾向があります。

例えば、「新楽匠 らくらくモーション」のような人気の電動ベッドでも、長さによってマットレスの種類やベッド柵が使えない場合があります。また、サイドレールの長さが合わないと、安全性にも関わる問題が起きてしまう可能性も。だからこそ、ベッド本体だけでなく使用したいマットレスやベッド柵もセットで確認しておくことがとても大切なんです。購入やレンタルの前に、しっかりと対応製品の情報をチェックしましょう。

4. 高さ・調整機能で変わる「介護のしやすさ」

介護ベッドを選ぶうえで、高さや調整機能は見逃せないポイントです。特に、介護をする人の身体的負担を減らしたり、要介護者の自立をサポートしたりする上で大きな役割を果たします。

ベッドの調整がしっかりできるかどうかで、毎日の介護のしやすさが驚くほど変わってくるんです。ここでは、ベッドの高さと腰痛対策、モーターの種類、電動昇降機能の実例、そして高さ調整がないとどう困るのかについて、具体的にお話しします。

4-1. ベッドの高さと腰痛対策の関係

介護者がもっとも負担を感じるのが、中腰姿勢での作業です。例えば、おむつ交換や体位変換の際に、ベッドが低すぎると腰に大きな負担がかかってしまいます。反対に、ベッドが高すぎると今度は力が入りにくく、バランスを崩してしまうことも。

そんなときに役立つのが高さ調整機能です。床からベッド面までの高さを調整できれば、介護者の身長や作業内容に合わせた無理のない姿勢がとれます。実際に、多くの介護施設では高さ調整機能付きベッドが標準となっており、「介護者の腰痛が軽減した」との声もよく聞かれます。

また、要介護者にとっても大切なポイントです。ベッドが低すぎると立ち上がり動作が難しくなり、高すぎると転倒のリスクが増します。ちょうど良い高さに調整することで、自分の力で立ち上がる自信を育てることにもつながるんです。

4-2. モーターの種類と調整できる箇所(1~3モーター)

介護ベッドには1モーター・2モーター・3モーターのタイプがあります。この違いは、調整できる箇所の数によって分かれています。

1モーターは「高さの調整」か「背上げ・脚上げ」のどちらか1種類の機能だけが電動で動かせるタイプです。例えば、自力である程度動ける方なら、高さを変えられるだけでも十分なこともあります。ただし、介護者が頻繁にベッド操作をする場合には物足りないことも。

2モーターになると、「高さ調整」と「背部の角度調整」ができるようになります。これは、介護する人にとっても介護される人にとっても便利です。背上げと脚上げが連動して動くので、食事やテレビを見るときなどに楽な姿勢がとれます。

そして、最も機能が充実しているのが3モータータイプです。「高さ調整」「背上げ」「脚上げ」がすべて個別に操作可能なので、細かくポジションを調整できます。たとえば、起き上がった後に脚部だけを下げることで、ベッドから安全に降りやすくなります。このように、3モーターのベッドは寝たきりを防ぐための自立支援にも役立つんです。

4-3. 電動昇降機能とリスク軽減の実例

高さを自由に変えられる電動昇降機能は、実際の現場で多くのリスクを軽減しています。たとえば、介護施設で働く職員の中には、ベッドの高さを毎回最適な位置に調整することで、腰痛の発症率が下がったというケースがあります。

また、要介護者が起き上がる際にベッドの高さを少し高めに設定することで、足腰の力を最大限に使えるようになり、自立した動作がしやすくなるんです。転倒事故が多いタイミングのひとつが「立ち上がりの瞬間」なので、これはとても大きな効果といえます。

最近では、「新楽匠 らくらくモーション」などのモデルが人気で、モーターでスムーズに昇降・角度調整ができる設計になっています。ベッドに寝たままでも、安全にポジションを変えられるので、寝たきり状態の方にも優しいつくりになっています。

4-4. 【参考】高さ調整がないと何が困るのか

もし介護ベッドに高さ調整機能がなかったら、どうなるのでしょうか?

まず、介護する側にとっては深刻です。作業のたびに腰を深くかがめなければならず、慢性的な腰痛やヘルニアを引き起こすリスクが高まります。これが原因で介護の継続が難しくなるケースもあります。

さらに、要介護者にとっても安全とは言えません。ベッドから立ち上がるときに高さが合っていないと、よろけて転倒する危険があります。また、ベッドへの移乗や体位変換がスムーズに行えず、褥瘡(じょくそう:床ずれ)の原因にもなりかねません。

つまり、高さ調整機能のないベッドは、介護する人にもされる人にも負担をかける可能性が高いということです。毎日使うものだからこそ、調整機能の重要性は見逃せませんね。

5. 設置スペースとレイアウトの重要性

介護ベッドの設置は、単にベッドが置けるかどうかだけでなく、介護のしやすさや安全性にも大きく影響します。部屋の広さや形、ドアや窓、トイレとの位置関係など、細かい部分まで配慮することが大切です。ここでは、介護ベッドを置くときに考えておくべきレイアウトや必要なスペースについて、具体的に解説します。

5-1. ベッドサイズ別に必要な部屋の広さ

介護ベッドには主に幅83cm、91cm、100cmの3つのサイズがあります。それぞれに必要な設置スペースも異なります。

例えば、最もコンパクトな83cm幅のベッドであっても、ベッドの左右に60〜80cm、足元に100cm程度のスペースを確保することが望ましいです。これは、介護者がベッドにアクセスしやすい動線を確保するためです。

標準サイズの91cm幅になると、よりゆとりある空間が必要になります。最低でも幅250cm × 奥行300cm程度の部屋があると快適に利用できます。広さに余裕がある場合は、介護機器や車椅子の利用にも対応できます。

一方、100cm幅のベッドは体格の大きい方や自立度が高い方に適していますが、設置にはさらに広いスペースが求められます。場合によっては、ベッドのサイズを優先するか、部屋の使い方を見直す必要があります。

5-2. 介護者の動線確保とレイアウト例

介護の現場では、介護者がスムーズに動けることが非常に大切です。介護ベッドの設置では、片側だけでなく両側からアクセスできるレイアウトが理想です。

例えば、ベッドを部屋の壁際にぴったりと寄せてしまうと、片側からしか介助できず、ベッドメイクや移乗動作が非常に困難になります。また、要介護者が寝返りを打つ場合にも、片側に壁があると圧迫感を与えてしまうことがあります。

実際には、ベッドの片側に約80cm、もう片側に50cm、足元に100cm程度のスペースがあると、車椅子や歩行器を使った介助も行いやすくなります。また、ベッドを部屋の中央や斜めに配置することで、動線を工夫する事例もあります。

一つの例として、ベッドの横にサイドテーブル、反対側に介護者の椅子を置くなど、介護の流れを意識したレイアウトにすると、毎日のケアがぐんと楽になります。

5-3. ドア・窓・トイレとの距離をどう考える?

介護ベッドの設置位置を考えるときには、ドアや窓、トイレとの距離もとても重要です。特に夜間のトイレ誘導や換気のしやすさなど、生活のしやすさに直結します。

まず、ドアの前を塞がないようにベッドを配置するのが大前提です。ドアの開閉がしづらくなると、緊急時の出入りに支障をきたすこともあります。

次に、トイレとの距離ですが、できるだけ短く・直線的な導線を確保するのが理想です。特に歩行が不安定な方や車椅子利用者にとって、無駄な曲がり角や段差は転倒リスクを高めてしまいます。

また、窓際にベッドを設置する場合は、直射日光や冷気に注意が必要です。カーテンやブラインドを活用し、快適な室温と明るさを保つ工夫も必要です。

5-4. 多床室・在宅・施設での設置パターン別の注意点

介護ベッドは、在宅・施設・多床室といった設置場所によって、注意すべきポイントが異なります。

まず、在宅介護では、設置する部屋が居間や和室など多用途であることが多く、他の家具や家族の動線とぶつからないように配慮が必要です。和室に置く場合は畳を傷めない工夫(マットの設置など)も忘れずに。

一方、介護施設の個室では、看護師や介護士の導線が最優先されるため、ベッドの左右どちらからでも介助できる配置が求められます。コンセントやナースコールの位置も確認し、必要な機器との接続がスムーズに行えるようにしておきましょう。

さらに、多床室(4人部屋など)では、カーテンで仕切られたスペース内にベッドを設置するため、限られた範囲で快適に使う工夫が必要です。音や光への配慮も必要なため、静音設計のモーター付きベッドや間接照明の利用などもおすすめです。

いずれの設置場所でも、福祉用具としての機能を十分に活かす配置が重要であり、使用する本人と介護者の両方にとって、快適で安全な空間となるように工夫しましょう。

6. 実例で学ぶサイズ選びの成功と失敗

6-1. 83cm幅で密着介助がスムーズになった事例

83cm幅の介護ベッドは、体の小さい方や寝返りが困難な方にとって非常に使いやすいサイズです。
たとえば、身長150cmほどで筋力が低下し、自分で体位変換が難しいAさんの場合、91cm幅のベッドでは介助者の体が入りづらく、密着しての介助が困難でした

介助中に腰をひねる動作が多くなり、介助者の身体への負担も問題となっていました。
そこで83cm幅のベッドに切り替えたところ、ベッドと壁の隙間が広くなり、介助者が身体を差し入れやすくなったことで、介助の動作が格段に楽になったそうです。

また、マットレスとのフィット感も高く、安定した体勢での移乗が可能となり、本人の安心感もアップしました。
幅を狭くすることで、部屋のスペースにゆとりができたことも大きなメリットです。
このように、適切な幅の選択は、介助のしやすさと安全性に直結するといえるでしょう。

6-2. レギュラーからロングへ変更して快適になった話

身長176cmを超えるBさんは、最初にレギュラーサイズ(191cm)の介護ベッドを使っていました。
しかし、足がフレームに当たってしまうことが多く、夜中に何度も目が覚めてしまうほどの違和感と不快感があったそうです。

特に膝を伸ばした状態で寝るのが難しく、脚部がフレームに押されるような感覚に悩まされていました。
そこで思い切ってロングサイズ(205cm)のベッドに変更したところ、足元に余裕ができ、快適に眠れるようになったのです。

介護マットレスもロング対応のものを選び、体にかかる圧力が均一になったことで、床ずれのリスクも軽減されました。
Bさんのご家族は「もっと早くロングサイズにしていればよかった」と話していました。
長さの選定は、身長だけでなく、寝たときの姿勢やマットレスの沈み込みなども加味して考えることが大切です。

6-3. 広すぎて部屋のドアが開かなくなった失敗談

介護ベッドを選ぶ際、ついつい「広い方が快適そう」と思ってしまうことがあります。
Cさんのご家族も、体格がやや大きめという理由で、100cm幅のベッドを導入しました。

しかし、設置してみると部屋のドアがベッドに干渉して、開閉がほとんどできなくなってしまったのです。
部屋自体は6畳ほどでしたが、ベッドと壁との隙間が数cmしかなくなり、介助者の移動も困難になりました。
やむなく再度ベッドを交換し、91cm幅の標準サイズに変更。

ドアの開閉がスムーズになったことで、部屋全体の使い勝手が一気に改善されました。
このように、ベッドのサイズ選びは快適性だけでなく、部屋の間取りや動線を必ず考慮することが必要です。
特に車椅子や歩行器を併用する場合は、動線確保がより重要となります。

6-4. 高さ調整のないベッドで腰痛が悪化した例

介護をする方の負担を軽減するには、高さ調整機能がとても大切です。
Dさんの奥様は、1モーター式のベッドを使っていましたが、高さ調整ができないタイプだったため、介助のたびに腰を大きくかがめる必要がありました

最初は問題なかったものの、数か月たつと慢性的な腰痛に悩まされるようになり、整形外科に通うことになってしまったのです。その後、3モーター式のベッドに買い替えたところ、高さを体格に合わせて自由に調整できるようになり、腰への負担が大幅に軽減されました。

また、背上げと脚上げの個別操作もできるため、利用者が自然な体位を保てる時間が長くなり、快適さも向上しました。
この事例は、ベッド選びが介助者の健康に直結することを教えてくれます
介護者の負担軽減は、結果的に要介護者のQOL(生活の質)を守ることにもつながります。

7. 介護保険とサイズ選びの関係

介護用ベッドを選ぶとき、「サイズ」はとっても大事なポイントです。
だけど、単にお部屋に合うサイズを選ぶだけじゃなくて、介護保険が使えるかどうかにも大きく関わってくるんですよ。
ここでは、介護保険の適用条件やサイズによる制限などを、わかりやすくひとつひとつ説明していきますね。

7-1. 特殊寝台(介護ベッド)の保険適用条件

介護保険を使ってベッドをレンタルする場合、「特殊寝台」という基準をクリアしたものでないといけません。
じゃあ、その「特殊寝台」って何?というと、次のような機能があるベッドのことを言います。

  • 背中や脚の角度が調整できること(電動でもOK)
  • 床板の高さが自由に変えられること(無段階調整)
  • サイドレール(柵)が取り付けてある、もしくは取り付け可能であること

このような機能があるベッドなら、「自分で起き上がるのが大変」という方でも、スムーズに動けるようになります。
また、介護する人の腰の負担も減らせるので、安全面でも安心です。
つまり、機能性の高いベッドでないと、介護保険の対象にはならないということなんですね。

7-2. 要支援・要介護の区分によるレンタル制限

ちょっとややこしい話になりますが、要支援・要介護の区分によって、介護保険の使える範囲が違ってきます。
実は、平成18年の介護保険制度の見直し以降、要介護1以下の方(要支援1・2を含む)は原則としてベッドのレンタルができなくなったんです。

たとえば、要支援1や2の方が「転倒が心配だから電動ベッドを使いたい」と思っても、そのままでは保険が使えないというケースがあります。
この変更によって、「まだ元気だけど、今後が不安だから準備しておきたい」と考える人が、自費で借りるか、制度の例外を利用するしかないという状況になっています。

7-3. サイズによっては保険対象外になるケースも?

ここで注意してほしいのが、介護ベッドのサイズによっては保険の対象外になってしまうことがあるという点です。
たとえば、ベッドの長さには「ミニ(180cm)」「レギュラー(191cm)」「ロング(205cm)」の3つがありますが、レギュラー以外のサイズを選ぶと、マットレスなどの付属品が限定されてしまう可能性があるんです。

さらに、幅も「83cm」「91cm」「100cm」と3種類ありますが、100cm幅のものは介護にはやや不向きとされています。
理由は、介護者が体を寄せて介助しにくくなるからです。
幅が広すぎると、ベッド自体が「自立支援」という観点から外れてしまい、介護保険の目的に合わなくなるリスクがあるんですね。

7-4. 軽度者でも条件付きで使える制度とは

「要支援1・2」「要介護1」のいわゆる軽度者の方でも、ある条件を満たせば介護ベッドを保険でレンタルできる場合があります。
これは例外給付と呼ばれる仕組みで、福祉用具専門相談員が「この人には本当にベッドが必要」と判断した場合、自治体が認めてくれれば保険が適用されるんです。

たとえば、筋力が急激に低下してベッドから起き上がるのが困難になった人や、脊椎に変形があって体を起こすのがつらい人などは、この例外に該当することがあります。
ただし、市区町村ごとの判断になるので、事前にしっかりと確認が必要です。
こうした制度があることを知っているだけで、選択肢が広がりますね。

7-5. まとめ

介護ベッドのサイズを選ぶときは、介護保険の適用条件をしっかり理解しておくことがとても大切です。
幅や長さが合わなかったり、要介護の区分によっては、せっかく良いベッドを選んでも保険が使えないこともあるんですね。

でも、例外制度などもあるので、専門家に相談しながら進めていけば、無理なく最適なベッドを選ぶことができます
大切なのは、「どんなふうに使いたいか」「どんな動作が難しいのか」を具体的に伝えること。
そうすれば、保険の制度もうまく活用できて、安心して介護が始められますよ。

8. ベッド以外の要素がサイズ感に影響することも

介護ベッドのサイズを決める際、多くの人はベッド本体の「幅」や「長さ」だけに注目しがちです。
でも実は、それ以外の付属品や周辺機器も、ベッドの実際の使用感や、必要な設置スペースに大きく関係しているんですよ。
ここでは、特に注意したい3つのポイントを、わかりやすく解説しますね。

8-1. サイドレールの取り付け幅と干渉の注意

介護ベッドには、転落防止のためにサイドレール(ベッド柵)を取り付けるのが一般的です。
しかし、このサイドレールは単に「横に取り付けるだけ」ではなく、ベッドの幅方向に数cm〜10cm程度の追加スペースが必要になる場合が多いんです。
たとえば、ベッド本体が91cm幅であっても、左右にサイドレールを付けると、実質の占有幅は100cmを超えることもあります。
さらに、壁際や家具の近くに設置する場合は、サイドレールが壁やタンスに干渉してしまい、取り付けできない…なんてことも。
介護ベッドを設置する部屋の広さやレイアウトをよく確認し、レール込みの全幅で考えるようにしましょう。

また、ベッドによってはサイドレールの取り付け位置が固定されているものもあるので、「右側だけ取り付けたい」と思ってもできないケースがあります。
そのため、選ぶ際には「取り付け位置の自由度」や「レールの長さ・形状」もチェックしておくと安心ですよ。

8-2. マットレスの厚みがベッド高さに与える影響

次に大事なのが、マットレスの厚みです。
介護ベッドは、ベッド本体の高さを電動で上下できるものが多いですが、そこに乗せるマットレスの厚みによって全体の高さが変わってきます。
たとえば、「ベッドの最低高さが25cm」のモデルでも、マットレスが10cmなら、実際の寝床の高さは35cmになりますよね。

特に、床に足が届きにくい方や、ベッドからの立ち上がりに不安がある高齢者にとって、この数cmの差はとっても大きなポイント。
低すぎても立ち上がりにくいし、高すぎても転落のリスクが高くなります。
だから、マットレスの厚みとベッド本体の高さを合わせて選ぶのがとっても大事なんです。

また、厚みのあるマットレスだと、背上げや脚上げの可動域を圧迫することもあります。
電動リクライニングがしっかり動くか、マットレスが干渉していないか、確認しておくといいですよ。

8-3. ベッドテーブルや介助バーのスペースも想定する

介護ベッドのそばには、ベッドテーブル介助バーなどのサポート器具を設置することが多いです。
でも、これらも意外とスペースをとるって知ってましたか?

たとえば、ベッドサイドテーブル(KF-193など)を設置すると、ベッドの片側には30〜40cm程度の余裕が必要になる場合があります。
また、介助バーは足元や側面に取り付けるタイプがあり、ベッド本体の端に固定スペースが必要になります。
部屋のレイアウトや通路幅にゆとりがないと、動作の妨げになったり、ベッド下の掃除がしにくくなったりするんですね。

さらに、ベッドテーブルを使用する場合、キャスターの幅や支柱の位置がサイドレールや車椅子と干渉しないかも大切なチェックポイントです。
「ベッドサイズだけ測ったけど、テーブルが置けなかった…」なんて失敗を防ぐためにも、周辺機器込みの設置計画が必要です。

9. レンタル or 購入?サイズ選びに関わる選択肢

介護ベッドを選ぶとき、まず悩むのが「レンタルにするか購入にするか」ということですね。でも、ここで大事なのは単なる金額の話だけじゃないんです。ベッドのサイズや機種の選び方にも大きく関わってくるのが、この「レンタル or 購入」の選択なんです。それぞれにメリット・デメリットがあるので、しっかり理解して選ぶことが大切ですよ。

9-1. レンタルと購入でサイズや機種の選び方が変わる理由

介護ベッドのサイズは、幅が83cm、91cm、100cm、長さが180cm(ミニ)、191cm(レギュラー)、205cm(ロング)と複数のパターンがあるのですが、このサイズが自由に選べるかどうかは「レンタル」か「購入」かで変わってきます

たとえば、レンタルの場合、多くの業者が在庫として多く取り揃えているのは標準サイズ(幅91cm × 長さ191cm)です。このサイズは最も多くの人に適していて、在庫確保がしやすいため、介護保険での利用者もこのサイズを選びやすいんですね。

でも、体格が小さかったり、お部屋が狭くてコンパクトなベッドを希望する場合は、83cm幅やミニサイズ(180cm)を希望する方もいらっしゃいます。ところが、これらのサイズはレンタルでは在庫が少なく、すぐには用意できないこともあるんです。

一方で、購入ならサイズの選択肢は広がります。好みや状況に合わせて、自由に機種やサイズを選べるのは購入の大きなメリット。ただし、その分コストがかかるので、費用対効果をしっかり見極める必要がありますよ。

9-2. サイズによってはレンタルに在庫がないことも

レンタルを考えている人にぜひ知っておいてほしいのが、希望するサイズの介護ベッドがレンタル業者に在庫としてない場合があるということ。

特に注意したいのは、幅100cmや長さ205cm(ロングサイズ)といった大きなサイズ。これらは、大柄な方には必要ですが、レンタルの需要が少ないため、そもそも取り扱いがないことも多いんです。

また、身長が低めの方に最適なミニサイズ(180cm)も、レンタルでは選べないことがあります。在庫があったとしても、マットレスやサイドレールなどの付属品が適合しないという問題が出てきてしまうことも。

つまり、自分の体格や部屋の広さに合わせたサイズのベッドがレンタルでは手に入らないケースもあるというわけです。その場合は、思い切って購入に切り替える判断も必要かもしれませんね。

9-3. 価格と保険負担額の具体例

では、実際に介護ベッドをレンタルした場合、どれくらいの費用がかかるのかを見てみましょう。以下はある業者で提供されている介護ベッドと付属品の例です。

● 介護ベッド(新楽匠らくらくモーション)
・レンタル価格:13,000円/月
・介護保険適用後の自己負担額:1,300円/月

● エバーフィットマットレス
・レンタル価格:2,800円/月
・介護保険適用後:280円/月

● ベッドサイドレール(KS-160)
・レンタル価格:500円/月
・介護保険適用後:50円/月

● ベッドサイドテーブル(KF-193)
・レンタル価格:3,000円/月
・介護保険適用後:300円/月

これらをすべて合わせても、介護保険が適用されることで自己負担は2,000円前後に抑えられることが多いです。ただし、購入となると、これが一括で十数万円以上になる可能性があるので、短期利用ならレンタルのほうが断然お得ですね。

一方で、長期にわたって使う予定がある場合は、購入のほうがトータルで安くなることもあります。さらに、レンタルでは自分にぴったりのサイズやデザインを選べないという不満を解消できるのもポイントですね。

9-4. まとめ

介護ベッドのサイズ選びは、単に体格や部屋の広さに合わせるだけでなく、「レンタル」か「購入」かという選択とも深く関わっています。標準的なサイズを希望するならレンタルで十分対応できますが、特殊なサイズや機能にこだわるなら購入を検討する価値があります

さらに、介護保険を活用すれば、レンタルの自己負担額は驚くほど低く抑えられるので、短期利用の場合は特におすすめです。でも、数年単位で使う予定なら、最初に高額でも購入しておく方が総合的に見てお得になるかもしれません。

自分やご家族の体に合ったベッドを、無理のない費用で選ぶためにも、「サイズ」と「使い方」の両面からしっかり検討しましょう

10. 【完全チェックリスト】介護ベッドサイズ選びで確認すべき10の項目

介護ベッドを選ぶとき、一番に気をつけたいのが「サイズ」です。サイズが合っていないと、使いにくいどころか安全面でも心配が出てきますよね。ここでは「サイズ」選びで絶対に見落としたくない10のチェックポイントをご紹介します。おじいちゃんやおばあちゃん、ご家族の介護を頑張っている方に、安心して選んでもらえるよう、具体的な数字や例も交えながら丁寧に解説していきます。

1. ベッドの幅(マットレス幅)

介護ベッドの幅は主に83cm、91cm、100cmの3タイプに分かれています。83cmは「細身で寝返りが難しい方」や「狭い部屋向け」。介護者との距離が近くなり、介助しやすいサイズです。91cmは最もスタンダードなサイズで、自力で寝返りができる方にぴったり。100cmは大柄な方には快適ですが、介護するにはちょっと広すぎるかもしれません。

2. ベッドの長さ(マットレス長)

長さは180cm(ミニ)・191cm(レギュラー)・205cm(ロング)の3つ。目安としては、150cm未満ならミニ、150〜175cmならレギュラー、176cm以上ならロングが適しています。ただし、レギュラーサイズ以外はマットレスや付属品の種類が限られることもあるので注意が必要です。

3. 部屋の広さとのバランス

ベッドを置くスペース、ちゃんと確保できていますか?介護ベッドは一般のベッドよりも大きく、さらにサイドレールやベッドサイドテーブルなどの付属品も使うことを考えると、最低でも幅1.2m × 長さ2.1m以上のスペースが理想です。ドアの位置や動線も確認して、日常生活の邪魔にならない配置を考えましょう。

4. 介護する人の動きやすさ

介護者の腰を守るためにも、スペースに余裕があることはとっても大事。ベッドの片側が壁にぴったりだと、片側からしか介助できないという状況になりがちです。両側から介助できるよう、ベッドの両側に60cm程度のスペースがあると理想的です。

5. モーターの有無と数

介護ベッドには1モーター、2モーター、3モーターがあります。1モーターは高さまたは背中の角度のどちらかのみが電動調整可能。2モーターなら高さ+背中の角度を電動で。3モーターになると、高さ、背中、脚部の3つを個別に操作できるようになります。起き上がり動作がしやすくなるので、寝たきり予防にもなりますよ。

6. 使用する人の体型や生活スタイル

体が細めで動きが少ない人なら83cm幅、がっしり体型でよく寝返りを打つ人なら100cm幅。また、ベッド上で本を読んだりテレビを見るなら背上げ機能付きのモーターも重要になってきます。毎日の生活スタイルを想像しながら選んでくださいね。

7. 将来を見据えたサイズ選び

今は元気でも、介助が必要になるかもしれません。今だけでなく、3年後・5年後を見据えてサイズを選ぶことが後悔しないコツです。「ちょっと大きめで操作性のいいもの」や「機能が多いタイプ」を選んでおくと、後々の介護も楽になります。

8. サイドレールなどの付属品を考慮

サイドレールやマットレスの厚みも、全体のサイズ感に大きく関わります。レールがあると横幅が+10cmくらいになることもありますし、厚みのあるマットレスだと高さが変わるので、モーター機能の効果が減ってしまう場合も。すべてセットで考えることが大切です。

9. 移動やレイアウト変更のしやすさ

ベッドを部屋の中で動かしたり、模様替えしたくなることもありますよね。キャスター付きのタイプなら移動がとても楽ちんです。でも、幅が大きすぎるとドアを通らないこともあるので、搬入経路も確認しておきましょう。

10. 介護保険の適用条件

介護ベッドは介護保険を利用すればレンタル代が1割負担になります。ただし、要介護2以上が基本。要介護1や要支援の場合は、医師の意見書などにより例外給付が認められるケースもあります。また、保険対象のベッドにはサイドレール取り付け可能かつ背上げ・高さ調整機能が必要です。

まとめ

介護ベッドのサイズ選びは、ただ「大きければ良い」「モーターが多ければ良い」というわけではありません。使う人の身長・体型・生活スタイル、そして介護する人の動きやすさまで、トータルで考えることがとっても大切なんです。さらに、介護保険や付属品との相性、将来のことも見越して選べば、長く快適に使えるベッドがきっと見つかりますよ。一つひとつのチェックポイントを丁寧に確認して、ぴったりのベッドを選んでくださいね。

11. まとめ:サイズ選びは「使う人」「介護する人」「住まい」の三位一体で考える

介護用ベッドを選ぶとき、何より大切なのは「誰が使うか」「誰が介護するか」「どんな部屋で使うか」をセットで考えることです。これを忘れてしまうと、せっかく良いベッドを選んでも「使いにくい」「置けない」「介護が大変」という結果になってしまいます。

まず、「使う人」つまり要介護者の体格や動きの状態に合ったサイズを選ぶことが基本です。たとえば、身体が小柄で寝返りも難しい方なら83cm幅のベッドがぴったり。一方、自力で寝返りができる方には91cm幅がもっとも一般的で使いやすいサイズです。そして、大柄な体型の方には100cm幅が候補になりますが、介護者にとってはややスペースに余裕がありすぎて介護しにくい場合もあります。

長さも同様で、身長150cm未満なら180cm(ミニ)、150cm以上176cm未満なら191cm(レギュラー)、176cm以上なら205cm(ロング)が目安です。ただし、ミニやロングサイズはマットレスや付属品の種類が限られることがあるため、慎重に選びましょう。

次に、「介護する人」にとってもベッドのサイズや機能は重要です。幅が狭いほど密着介助がしやすくなりますが、体格が大きな方には狭すぎて圧迫感が生じることもあります。また、ベッドの位置や動きやすさ、モーターの数によって介護の負担が大きく変わってきます。1モーターは自立度の高い人向け、2モーターは支えが必要な人向け、3モーターは寝たきりの方の介助に最適といったように、使用者の状態と介護の手間を比べながら決めることが大切です。

そして、「住まい」の環境です。介護ベッドは一般の家具よりも大きく、部屋のスペースをかなり使います。ドアの位置や窓の向き、コンセントの場所、介護者の動線まで考慮して配置を計画しなければなりません。また、サイドレールやマットレスなどの付属品が、ベッドの昇降や角度調整を妨げないように設置する必要もあります。

介護ベッドは単に「寝る場所」ではなく、介護する人とされる人、そして生活空間のバランスの中にある存在です。だからこそ、サイズ選びを「人・人・空間」の三位一体で考えることが、快適な介護生活の第一歩なのです。

「このサイズで本当にいいのかな?」と少しでも迷ったら、必ず試してみる・相談してみることをおすすめします。サイズは毎日使うからこそ、ほんの数センチの違いが「ラクさ」「しんどさ」に大きく影響します。最適な介護ベッドのサイズ選びは、あなたと大切な人の笑顔につながります。